未来昔話。

昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんはオンラインショップでデータ通信端末の自作パーツを販売し、おばあさんは家事手伝いロボットのOSのアップデートをしていました。
すると、二人の住んでいる高層マンションの警備システムが作動したため、おじいさんとおばあさんが屋上の監視モニターを覗くと、そこには大きな桃がありました。
しばらく様子を見ていると、桃がプシューと蒸気を噴き出しながら真っ二つに割れ、中から男の子が出てきました。
おじいさんとおばあさんには子供がいなかったので、その男の子を家に迎え入れ、自分たちの子供として育てることにしました。
名前は桃太郎。
桃太郎はおじいさんとおばあさんから、たっぷりとサプリメントを与えられ、どんどん成長し、3ヶ月ほどで立派な青年になりました。
ある日、桃太郎はおじいさんとおばあさんに鬼退治をしたいと言いました。
この時、IT技術と知識をもったインテリ鬼たちがハッキングにより個人情報を盗み出し、詐欺や恐喝などをして、人々を困らせていたのです。
おじいさんとおばあさんは鬼退治をする桃太郎にウェブマネーを与えました。
それを軍資金に、桃太郎はオンラインゲームやSNS上で仲間を集い、犬・猿・雉(ハンドルネーム)の3人を選び出しました。
桃太郎とその仲間は、一旦わざと鬼たちのやり口に引っ掛かり、それを逆手にとって罠を仕掛けました。
犯罪を嗅ぎ分ける犬、手口を真似る猿、相手の弱みを突く雉。
見事に作戦は成功し、鬼たちからお金を奪い返しました。
鬼たちに苦しめられていた人たちにお金を返してあげた桃太郎は、たちまち地位と名声を得ました。
犬・猿・雉とバンドを組んだりしました。
役者として時代劇にも出ました。
本も出しました。
グッズ販売の会社を立ち上げ、最後には鉄道まで作りました。
実は鬼退治の時から全て桃太郎がシナリオを描いていたのではないかと推測する者もあらわれ、いつしか桃太郎は、金儲けの鬼と呼ばれるようになりました。
めでたし、めでたし。

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