八割計画について

計画8割。衝動2割。

コピーの勉強を始めたとき、自分自身にキャッチフレーズをつけてみようと考え、そこで生まれた言葉です。
小学生のころから、何かと計画をすることが好きでした。実行することよりも計画することが楽しくて、色々な可能性を考え、状況の変化に対応できるように、頭の中で準備しておくことに満足感を得ていました。
それとは反対に、気持ちそのままに行動をする大胆さも、時に必要だと考えるようになりました。やりたいことがあるにもかかわらず自分で道を閉ざしてしまう人が多いことに、少し苛立ちを感じていたからかもしれません。
大学生のときに工学部から法学部に移ったのも、卒業後にお笑い芸人になったのも、周りの人からすれば理屈に合わない無謀な行動だったと思います。
でも、計画という土台を築いたら、そこから思い切りジャンプしたくなったのです。
八割計画という名前には、慎重さと大胆さの両方をもって、世の中に新しいものを提供していきたいという思いを込めています。

もっとも優しいチカラ

言葉で表現し、人をワクワクさせる仕事がしたい。
お笑い芸人でも、コピーライターでも、同じ気持ちです。
ただ、お笑い芸人をやっているころから、漠然とした不安を感じていました。それは「世の中の人の想像力が落ちてきているのではないか」というものです。人の言葉を見聞きし、考え、頭の中に映像として描き出して、その人の気持ちや状況を理解する。これができない人が多くなっているから、単純で瞬間的に理解できるようなものが流行りやすくなったのではないかと。
また、情報化社会が進んだことで、自分の頭で考えることもなく、答えらしきものが容易に手に入る環境に慣れてしまったことも影響しているのではないかと推測しています。
そうであるとすれば、人と人とのコミュニケーションにおいて問題が生まれやすく、社会としては危険で、とても寂しいことではないでしょうか。
この状況を変えるために、『日本人の想像力を鍛える』という目標を立てました。
八割計画の言葉が、想像力のある人の思いやりが満ち満ちた社会を育むものであることを1つの指針にします。

「好き」が伝わる言葉たち

言葉を使って何かを伝えようとすることは、言葉を覚えたての子どもから、語彙と表現力、経験が豊かな大人まで、誰しもが日常的に行っていることです。
その日常的なことを我々が仕事にしているのは、簡単そうに思える「伝わる」ということの実現が、案外難しいものだからです。
まず、「伝わる」ためには、理解をされることが必要です。
そのためには、一部の人しか知らないような専門用語などの難しい言葉ではなく、多くの人が普段慣れ親しんでいる言葉で表現することが求められます。
また、「伝わる」ためには、人の心に響くことが必要です。
そのためには、その言葉に込められた思いが、平凡な言葉ではなく、魅力的な言葉によって語られることが求められます。
この相反するとも考えられそうな2つの必要条件を満たす言葉が、人に「伝わる」言葉であり、我々が生み出していかなければならないものなのです。

シンプルに「好き」
少し照れて「もう少し話そう」
背中を押して「待ってる」
その時、その場所に合わせて。

文/北田一喜