仇討ち。
「坂田彦十郎、やっと見つけたぞ。
母の伯父の従兄弟の姪の義理の弟の父の仇!
今ここで、長年の恨み晴らさせてもらうぞ。」
「…執念の深さが尋常じゃないな。
誰のことを言っているのかさっぱり分からんが、お主の名は?」
「藤堂平助と申す。」
「…藤堂平助だと?」
「いかにも。」
「お主、もしや藤堂清一郎の息子か?」
「いかにも。」
「そうか…。」
「…どうしたと言うのだ?」
「藤堂清一郎は、何を隠そう、拙者の父の叔母の娘婿の兄の曾祖父の弟子なのだ。」
「何だと…。
ならば、貴様と私は…?」
「そう、関係者だ。」
「何ということだ。長年恨み続けてきた相手が、まさか関係者だと…。
こんな因果が…。」
「つまり、拙者は、父の叔母の娘婿の兄の曾祖父の弟子の妻の伯父の従兄弟の姪の義理の弟の父を殺した…。」
「…知ってしまった以上、私がここにいる意味はない。
さらばだ。」
「お主、どこへ行く?」
「私は今から、兄の師匠の妻の親友の初恋の人の腹違いの妹が足繁く通った店の主人の仇を討ちに行く。」
「…。」
「いや、まず父の浮気相手が入れ込んでいた男の隠し子の本当の父親の弟の幼馴染の仇を討ちに行く。」
「命を粗末にするな、と言いたいところだか…。
お主みたいなのは長生きするだろうな。」
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