雨男。

彼は雨男。
子供の頃から、彼が遠足や旅行に行くと、決まって雨が降った。
彼が楽しみにしている日に限って、雨が降った。いつしか彼は外に出るのをやめてしまった。
ある時、彼の元に一通の手紙が届いた。
それは雨が降らない町の町長からで、その町に来て欲しいという内容だった。
町は水不足により、草木が枯れ、荒野と化した町の写真が手紙に添えられていた。
始めはあまり乗り気ではなかったが、写真をよくよく見ると、すげー可愛い女の子が写っていたので、彼はすぐに町に向かった。
町に向かう道中はもちろん雨。
町に近づくにつれ、彼の胸は高鳴り、それに合わせるかのように雨も激しくなった。
しかし、彼がその町に着く頃、不思議と雨はあがっていた。
彼はすげーテンションが上がっていたせいで、雨が止んでいることなど気にもせず、町に着くや否や、写真に写っていた女の子を探した。
女の子はすぐに見つかった。
町で一番大きな屋敷の前に立ち、悲しそうな顔で彼を見ていた。
すげーテンションの上がっていた彼は、彼女に話し掛けようと近づくと、彼女は屋敷の中に入ってしまった。
すると、その屋敷からすげー微妙な表情のおじさんが出てきて、彼に話し掛けた。
そのおじさんは彼に、自分が町長で、手紙を出した張本人であること、彼が見た女の子が自分の娘であること、そして、その娘が晴れ女であることを伝えた。
彼は、町長の娘が晴れ女として強大な影響力をもつ娘がいて困っていること、それでも雨男である彼が町に来れば雨が降り、町が救われるかもしれないと町長が考えたこと、そして、町長の娘がお母さん似であることをすぐに理解した。
彼は、娘さんに会わせて欲しいと言ったが、町長はそれを拒んだ。
彼が来ても、雨が降っていないからだった。
別に話しするぐらいいーじゃんと、彼は思った。
納得のいかない彼はもう一度願い出たが、町長は食い気味で断った。
彼の諦めが悪いので、町長は自分の娘の話をし始めた。
晴れ女として生まれてしまった為に、町に雨が降らなくなったことを嘆き悲しみ、責任を感じつつも、どうしようもない状況に、いつしか煩わしさを感じ、何か面倒臭ーいと言って部屋に篭りだし、とりあえず暇だから、ネットを見ていたら、自分と同じように部屋に篭っている雨男のブログを発見し、こいつを利用すれば、何かうまいこといくだろうと考え、メールを送ってみようと思ったが、メールより手紙の方が何となく良い感じっぽい気がしたからで、あとは自分の写真で釣ろうと企んで、まんまと彼を町に来させることには成功したけど、期待してたほどの雨男っぷりじゃなくて、何かつまんねーと言って、また部屋に篭りました、とありのままを話した。
話を聞きながら、彼の表情は曇っていったが、これほど包み隠さず話されると、さすがに最後には気持ちも晴れやかで、とっとと自分の家に帰っていった。
結荒れた果てた町にも、荒んだ彼女の心にも、潤いをもたらす雨は降らなかった。

めでたくない、めでたくない。